今日就職部のYさんから、高校3年生の保護者向けの講演会で話す内容について相談を受けた。僕はポイントとして、保護者が大学に期待するものは何か、しかも就職課に期待するものは何かを考えた。多分、今フリーターやNEETがマスコミをにぎわしていることもあり、保護者を説得するには正社員として就職することだと考えた。上場企業や有名企業、公務員など、保護者の期待はドンドン際限なしだろうが、とりあえずは「普通の企業」に就職することが第一条件だろう。
だから、「お子さんが4年後にフリーターになって卒業しないように、1年次から指導をしています」だ、第一のポイントだ。実は大学には「好きなことで一番になろう」というスローガンがある。このスローガンは、学生にも好評だ。
僕の講義を受けている多くの学生が、大学を選ぶきっかけとしてこのスローガンを挙げている。そして僕は、このスローガンと大学の教育理念を具現化した「自立と体験」を絡め、就職指導の流れを加味することを提言した。
大学に来てとても驚いたのは、いわゆる教育理念の落とし込みがほとんどなされていないということだった。上層部と教職員の一部は教育理念について知っていても、共通理解として全員が知っているという状態ではない。教育理念の落とし込み、あるいは学生の育成目標をきちんと全員が理解していれば、チームとしての大学力は非常に高まる。そして、学生の意識はドンドン高まっていくはずである。
大正期に発する新しい教育の流れを自ら作り上げたこの大学でさえ、明確な教育理念の共通理解はなされてはいない。大学教育の危機、大学経営の危機というこの時代こそ、もう一度原点に戻るという姿勢が必要なのではないだろうか。
コメント