今週、A大学で「キャリアプランニング講座」(CP講座)を3日間かけて実施したので、今回はそのことについて、というよりその中で僕が感じたことを書いてみたい。
今回のCP講座では、A大学の意識の高い層の学生を集め、レベルの高い就職活動と結果を題したい、ということがテーマである。意識の高い層を集めるために、この講座はちょっと高めの料金設定にした。通常、大学が講座の料金の一部を負担したり、全額支払うことで、学生の負担は数千円ということが多いのである。だから、大学側の担当者は、学生が集まるのかどうかとても心配していた。
結果的には定員40に対して43名の応募があり、当日欠席が出たので最終的には38名がエントリーした。
講座の目的は、
1)学生の就職への意識を高める
2)3日間で現時点での就職観を定める
3)明日から何をするかを明確にする
4)自分を語る力をつける
5)受講生が強いチームワークの集団となり、大学全体の就職活動のフロンティアとなる
内容的には、
1)講座の目的、各自の参加意識の向上
2)自己分析・・・個人ワーク、グループワーク、グループ討議、ゲームなど
3)最終日に実施するプレゼンテーションに向けての準備
4)面接対策
講座の中で印象的だったことを2・3あげてみる。まず最初にグループ分けをした。グループ分けは、最初にリーダーを7名立候補させ、リーダーがプレゼンを行う。それを聴いた学生がリーダーを選び、グループが出来るという流れである。このグループ分けに30分時間をとった。それは、リーダーがなかなか出てこないのではないかと思ったからだ。だから、出てこなかったことを想定して、脅し文句をいくつか用意したりしていた。
ところが、リーダーやりたい人、と言った途端、7名があっという間に出てきてしまったのである。むしろ、その後のリーダー選びのほうに時間がかかり、でも結局15分くらいでグループわけが終わったのである。
この情景を見て、僕は、これはすごいと思った。これはいい講座になるな、と確信した。
実際、1日目から彼らの動きは素晴らしかった。グループ討議をやっても積極的だし、個人ワークもレベルが高い。見ていてこちらがワクワクしてくる。
2日目、午前中は大学内で1日目の続きの自己分析をし、午後から大学のセミナーハウスに移動した。第2日目のエピソードの第一は、僕に関することだった。2日目の朝は講座は10:00から、でも9:30から自由にグループワークをしていいよ、ということになっていた。僕は9:30前に大学に着いて、担当者と事務所で話をして、多分9:45頃に教室に入っていた。そうしたら、今日の黒板に「Poohee先生お誕生日おめでとう」がイラスト入りで書かれていたのだ。これにはびっくりで、鳥肌が立ってしまった。
確かに、昨日の講師自己紹介で、「明日が誕生日」ということは言ったのである。だけど、それが1日講座をしただけで、こういうことをやってくれるのはすごい。そういう気配りを、さっと出してしまうその意識は相当なものだなと強く感じた。
この講座のメインイベントは3日目の午前中のプレゼンテーションだが、内容的なメインはそのプレゼンのための資料作りをやる3日目の夜だと、僕は考えていた。ここではこれまでやった自己分析と将来の仕事について考えてきたことを1枚の模造紙に描くのだ。絵でも字でも何でもいい。こちらが用意したのは模造紙を学生一人に1枚と皆で使う10色ほどのカラーペン、クレヨンだった。
ここは分娩室だ、ということが学生の作業を見ていて僕には思われてきた。自分の将来はある程度描けているのに、それをどう表現したら良いか分からない者。どうしても自分の将来が見えてこない者。いろいろな学生が苦しんでいる。僕たちは彼らの相談を受け、作られていくプレゼン資料を見ながら話をする。泣く者がいる、笑う者がいる。
時間が翌日になって1:00か2:00には終わる妥当と思っていたのが、結局ほとんどの学生が3:00、4:00まで頑張っていて、当然僕たちも・・・。
でも、自分をごまかして「これでいいや」としたくない気持ちがビンビン伝わってくるから、僕はぜんぜん眠くならない。このパワーはすごい。僕たちが彼らからパワーをもらっているのは明らかだ。ここから、この苦しい作業から素敵なパフォーマンスが生まれるだろうという予感が僕の内側から沸いてくる。
さて、翌朝は爽やかな朝だった、が僕も彼らも頭はボーっとした状態。それでも、朝ごはんを食べ、いよいよプレゼンが始まる。プレゼンの時間は2分だ。流石に、前日の苦労がプレゼンに現れている。プレゼンの技法は未熟だけど、全員が自分を表現できていた。巣晴らしいプレゼンだった。
ところが、驚きはその後、面接指導を終えた最後の振り返りでやってきた。
振り返りは各自の椅子を円形に並べて、皆が皆の顔を見られるようにして行った。最初の学生が多分3分ほど話し始めた。それが皮切りだった。一人ひとりが数分間、自分の言葉で自分を語り始めたのだ。これは圧巻だった。彼らには、というのは人には本当に無限の可能性があるんだな、とこの時確信した。それは他の講師も、大学の担当者も、そして参加した学生もこのすごさを感じたのではないだろうか。
僕は、この講座を通してたくさんの刺激を学生たちから受けた。そして、パワーをもらい、学んだと思う。そして、意識の高い人たちの中にいると、自分自身の意識がドンドン高くなるということを実感した。そんな、3日間だった。
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