フリーターとNEET
この講義では、何と言っても、考えることをテーマにしている。学生達に考えさせるためには、テーマをどう設定し、そのテーマをどう彼らにぶつけるか、が問題だ。実はテーマは何でも良い。彼らの脳みそのどこかに引っかかることが重要である。引っかかって、それによって脳みそが回り始めたら大成功である。
そういう意味で、「フリーターとNEET」は最高のテーマの一つだ。このテーマは、前期に理工学部建築学科の「自立と体験」でゲストスピーカーとして2回講義をしたうちの1回目で取り上げた内容だった。担当の先生から、NEETやフリーターについて触れて欲しいということで取り上げた。特に、フリーターと正社員の年収、年金等を数字で示したところ、学生達が非常に関心を持ったので、人文学部の講義の方でも取り上げてみた。
上記の比較のほか、政府・自治体・NPOなどのフリーター・NEET対策や自ら目標を持ちフリーターを続けている人の新聞記事などを示し、グループ討議をさせた。単純な是非だけでなく、生き方の問題、社会への適応の問題などを考えるように指示している。
学生達がこのテーマに関心を持つ背景は、高校時代の友人など身の回りにフリーターやNEETがいることと、そして3-4年後には自分自身がそのリスクに直面するというリアリティである。8割がたの学生が自分の問題として考え、課題を書いてくる。またグループ討議もかなり真剣になる。
多分、この講義が「考える」事をテーマにするのだとすれば、このような身近でリアリティのあるテーマを提示することが必要なのだと考える。この講座では「どの方向に考えるか」はとりあえず、問わない。まずは考えることを体験する。考えることの有効性や楽しさを感じることが第一である。
このテーマについては、後期では第3回目に講義を行っている。1回目はオリエンテーションで、2回目は「自分を知る」というテーマで、何故自分について考えるか、一番自分を分かっているのは自分だが、隠れている自分がまだまたたくさんあるとか自分に関心を持たそうとしている。ただ、第2回目の自分をテーマにするというのは、唐突で関連性が薄いような感じがする。次年度は工夫が必要だろう。
コメント