9月1日付け朝日新聞夕刊1面の特集「ニッポン 人脈記」(テーマは“TOKYO・モード”)で、文化服装学院が話題になっていた。戦前のお裁縫学校をファッション・デザイン学校にしたのが小池千枝(元名誉学院長)だった。小池は1950年代半ばにパリでデザインを勉強する。その教え子は高田賢三、松田光弘(ニコル創業者)、コシノ・ジュンコ、金子功など日本のファッション・デザイン界のリーダー達がいる。
その小池の言葉、「教育とは、一人ひとりの学生を揺さぶってみることなの。中から必ず独自な何かが出てくるのだから」。教え子松田の言葉、「・・・手抜きはすぐ見破られた。最後まで考え抜くことを学んだ」。高田の言葉「何だ、思いっきり好き勝手にやればいいんだ、と気づいた。それが教えてもらった一番大事なことだった。
これらの言葉を何度か読み返しながら、これが今の教育にはないんだな、と思った。小池はすべての学生の中に、可能性があることを前提に、彼らに何かを投げかける。教師には教えることは無い。生徒・教師は自分で学ぶことしか出来ない。そのことを今の日本の教育は忘れている。学生は自分で考え、自分で決めるしかない。そして、自分で気づくのだ。一人ひとりが違う個性と価値観を持ち、自由に羽ばたく。教育の役目はその手助けでしかない。
この謙虚さと眼が人を育てるのだろう。日本は今、分岐点にある。日本が再生する道は教育以外にない。
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