原点に戻る
企業が壁にぶつかるとよく、創業の理念に戻る、ということをします。
企業は一定の利益を上げ続けるために、常に新しいことにチャレンジし、失敗したり成功したりしながら成長してきます。
そのチャレンジの事業が、あるとき企業の成長の足を引っ張ることがあります。そのことに、中にいる人はなかなか気がつきません。
中興の祖、などといわれる人は、ひょっとしたら、それが見え、もう一度創業の理念の重要性を前面に出すリーダーなのです。
勇気を持って、チャレンジの事業を切り捨て、本来の強みである本業に戻ります。選択と集中をするわけです。
僕は今非常勤講師として大学で教えています。また、講師としていろいろな大学に出かけていき、講演をしたりします。
そのように、大学を見ていると、いろいろな問題が浮かび上がってきます。
大学を内側から見て、わかったことのひとつは、入試戦略が大学を変えた、ということです。
どう変えたか、個性の喪失です。より普遍的に、つまりより多くの受験生を集めるために、大学は外部の業者と組んで入試戦略を進めます。
そうすると、どこの大学も個性を削って、より普通の大学になり、普通の受験生を集めようとします。
少し言い古された言葉ですが、数100の大学が、ミニ東大を目指すのです。
1000人募集する大学は10000人の受験生を集めれば御の字です。なのに、60万人の受験生にアピールする戦略をとろうとします。
そうして、個性を失った大学郡には、偏差値の輪切りによって振り分けられて、意欲を失った学生が、偏差値の順に入ってきます。
当然、偏差値の低い大学への新入生ほど、意識が低くなります。
学生たちは4年間、偏差値による劣等感に絡まったまま、大学生活を送ります。そんな大学が活性化するはずはありません。デフレスパイラルです。
企業も大学も同じです。厳しいときほど、自分の強みを前に出し、そこに力を集中するべきではないか、そんなことを思う今日この頃です。
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